病院で骨折
朝6時19分、枕もとの携帯が鳴る。寝ぼけまなこで携帯を取り上げ、出ようとしたところでいったん切れたが、6時21分、再度着信。何事かと思ったら、高橋病院からだった。母が転んで骨折したというのだ。
何も支えがなければ一人では立つこともできないはずなのに、一人でトイレに行こうとして(恐らく)、起きて歩きかけて転んだらしい。左大腿骨骨折。かなりの重傷だ。
これは報告で、今すぐこちらが何かをしなければいけないということではない。わかりましたと言って電話を切り、それから再度布団に入って1時間ほど寝た。母のことは心配だが、朝から仕事でもある。寝不足というわけにはいかないのだ。
いつもの時刻に目を覚まし、改めて電話の内容を反芻する。電話を受けた時は状況を理解するのに時間がかかり、どう反応していいかわからなかったが、ようやく受け止めることができた。
昨日、とにかく歩けるようにならないと家に帰れないから、リハビリを頑張って、と何度も何度も言ったため(一度言ってもすぐ忘れるからだが)、歩かなくちゃ、歩けることを示さなきゃ、と思ったのか。
別れ際に「先生はまだ歩けないとおっしゃるけど、本当は歩けるの」と言っていたのは、本当に歩けると思い込んでいたのか。
認知症であることは病院もわかっているわけだから、もう少しなんとかならなかったのか、とも思うが、24時間監視することはできないし、本人が勝手に起き上がってしまったものは致し方ない、とも思う。
午前中、主治医から電話がある。整形外科の先生とも相談をしたが(主治医は内科)、手術はやめた方がいいと思う。やるとすると全身麻酔の大手術になり、それなりのリスクがある。若い人でもそうだが、高齢の方にはなおさらだ。そのリスクをとって手術をして、それで歩けるようになるかというとそれは難しい。どちらにしても歩くのが無理なら、リスクは避けた方がいい。どうしてもというなら日本病院に相談してもよいが、恐らく同じ判断をされると思う、ということであった。
入院した時は、今後のリハビリで以前のように歩けるようになることが目標だということでしたが、それはどう変わりますか、と訊くと、車椅子に乗れるようになることが目標になるますとのこと。
これで、母は家に帰ることは不可能になった。あの家は車椅子では入れないから。
夜、アヤメ叔母さんに電話。気が動転していて、普通の話し方ができなかったのだろうと思う。叔母さんも驚いていたが、私の気持ちを察してくださり、「ま、折れちゃったものはしょうがないよ。あまり自分を責めないように」と言ってくださる。その言葉で少し落ち着けた気がした。
(2021/5/2 記)
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